Part5 大型総合スーパー編(2)---物流体制とシステム

Part4では,大型総合スーパー(GMS)の業務の基本である「マーチャンダイジング」を紹介した。Part5のテーマは物流戦略である。GMSがメーカーなどの取引先に商品を発注してから,店舗に商品が届くまでのモノと情報の流れを中心に解説する。

 GMS各社は,商品を納めるメーカーや卸に対して商品原価の値下げを厳しく要請する一方,自社の業務コストの削減にも必死で取り組んでいる。なかでも各社が力を入れているのが物流コストの削減だ。

 物流業務は,日用品や生鮮食品など商品カテゴリごとの「物流センター」と情報システムが大きな役割を果たす。物流センターはGMSが自ら運営する場合と,専門業者の設備を借りて運営を委託する場合がある。以下,情報システムと物流センターが物流の合理化にどうかかわっているのかという観点から,GMSの取り組みを見ていく。

物流経路をきめ細かく管理

 まずは,GMSの本部が運営する発注システムを中心に,商品の発注から納品までの流れを整理しておこう(図1)。

図1●GMSにおける発注から納品までの情報と商品の流れ
[画像のクリックで拡大表示]

 商品の発注は,各店舗が個別に行う場合と,本部がまとめて行う場合がある。店舗が発注する場合は,商品コードや数量といった基本的な情報を発注データとして本部の発注システムに送る。

 発注システムは商品マスターや取引先マスターなどをもとに,店舗から受け取った発注データと,本部が入力した発注データの情報を加工したり形式を整えたうえで,物流センターや取引先(メーカーや卸)に送信する。さらに,店舗発注と本部発注を合わせたものを出荷予定データとして,店舗に返す。

 発注データを物流センターと取引先のどちらに送るかは,本部のマスターに登録しておいた商品ごとの物流経路に基づいて決める。物流経路には,(1)物流センターで在庫として保管している商品を店舗へ出荷する,(2)取引先からいったん商品を物流センターに持ち込んでから店舗へ出荷する,(3)取引先から店舗へ直接出荷する,といったパターンがある。

 発注データを受け取った物流センターや取引先は,注文を受けた商品をいつ,どれだけ出荷するかという出荷確定データを本部に送信。これをまとめて,本部が各店舗に送信する。物流センターや取引先から店舗に商品が入荷すると,商品の検品と品出し(梱包された商品を取り出して陳列すること)を実施する。

 商品が届いた後の検品作業と品出し作業は,店舗にとって非常に大きな負担になっている。店舗のスタッフはこれらの作業に時間をとられ,顧客への対応や商品の発注という本来の業務に時間を割けない状況にある。そこで,GMS各社は物流改善の大きなテーマとして,まずこの問題の解決に取り組んでいる。

店舗での検品を不要に

 検品作業の負担を軽くするための対策としては,「ノー検品」の動きが進んでいる。商品を出荷する前に物流センターで検品を行い,店舗での検品を不要にする,という取り組みである(図2)。単に検品作業の場所を移すだけではなく,検品作業の責任の主体まで物流センターに移す。

図2●「ノー検品」の実現。これまで店舗側で行っていた検品作業を物流センター側で済ませる
[画像のクリックで拡大表示]

 物流センターでは,取引先から商品が入荷したときの「入荷検品」,および店舗に商品を出荷するときの「出荷検品」を実施する。こうした二重のチェック体制によって検品精度を高めることで,店舗では検品しなくても済む。実際,検品精度は非常に高く,“誤納率”が10万分の1以下という物流センターも珍しくない。

 ただし,実際に物流センターで検品を行うためには,取引先と物流センターとの間で,EDI(電子データ交換)の仕組みを構築しておく必要がある。物流センターが取引先から,個々の商品の事前出荷データをあらかじめ受け取っておかないと,検品できないからだ。現時点ではEDIに対応できない取引先も多く,すべての商品を対象にノー検品を実現することは難しい

  • 0
    点赞
  • 0
    收藏
    觉得还不错? 一键收藏
  • 0
    评论
评论
添加红包

请填写红包祝福语或标题

红包个数最小为10个

红包金额最低5元

当前余额3.43前往充值 >
需支付:10.00
成就一亿技术人!
领取后你会自动成为博主和红包主的粉丝 规则
hope_wisdom
发出的红包
实付
使用余额支付
点击重新获取
扫码支付
钱包余额 0

抵扣说明:

1.余额是钱包充值的虚拟货币,按照1:1的比例进行支付金额的抵扣。
2.余额无法直接购买下载,可以购买VIP、付费专栏及课程。

余额充值