友子、たっだ数日のお航海で
僕はすっかり老け込んでしまった
潮風がつれてくる泣き声を聞いて
甲板から離れたくない
寝たくもない
僕の心は決まった
陸に着いたら
一生海で見ないでおこう
潮風よ
なぜ泣き声をつれてやってくる
人を愛してなく
嫁いでなく「とついでなく」
子供を産んでなく
君の幸せ未来図を想像して
涙が出そうになる
でも、僕の涙は潮風に吹かれて
溢れる「溢れる」前に乾いて「かわく」しまう
涙を出さずに泣いて
僕は、また老け込んだ
憎らしい風
憎らしい月の光
憎らしい海