大学入試改革―本当に実現できるのか

大学入試センター試験にかわる新しい「大学入学希望者学力評価テスト」が、2020年度から始まる。

 その制度設計を検討する文部科学省の有識者会議が、中間まとめ案を了承した。

 スタートまで5年だが、具体像は見えてこない。

 本当に実現できるのか。問題の中身や実施方法を、できるだけ早く詰めてほしい。

 今回の改革は高校、大学教育、それをつなぐ大学入試を三位一体で変えるのを目指す。入試を変えない限り教育も変わらないとの声が強いためだ。

 狙いは知識を覚え込むだけでなく、問いを自ら立て、多様な人々と対話しながら答えを探る力を育てることだ。

 小中高の教育内容を決める学習指導要領も同時に改訂する。

 まれにみる大改革である。

 まとめ案は新テストについて最初の4年を試行期間とし、その間に試験内容や体制を詰めるという。後ろ倒しにも見えるが、着実に進めるために助走を設けるのはやむを得ない。

 心配なのは、案が生煮えなことだ。肝心な出題のイメージを示せず、採点や成績提供の方法もまだ具体化できていない。

 今回の改革は、一発勝負で知識の量を一点刻みで問う日本の入試への批判から出発した。

 そこで掲げたのが、複数回の受験を可能にし、思考力を問う「合教科・科目型」「総合型」や記述式の問題を出し、成績を段階別に表示することだった。

 ところが、売りだった「合教科・科目型」「総合型」について、まとめ案はふれていない。

 難しいと判断したのなら、きちんと説明してほしい。既に教育産業は新タイプの問題を試作し、講座を設けるなど走り出している。

 まとめ案は実施に際して、いくつもの課題を挙げた。

 記述式問題は採点に大勢の人が必要で、時間がかかる。多様な力を測るのにコンピューターでのテストを導入すると、端末の整備にお金がかかる。試験中に故障すると、混乱を招く。

 複数回の試験では、難易度を調整するのに全問題の予備調査が要る……。

 いずれも前提条件の問題だ。一つひとつ実現可能な道を探らなければ、理念倒れに終わる。

 そもそもすべてを新テストに背負わせるのは無理がある。記述問題は大学の個別試験に任せるなど切り分けが必要だろう。

 今回の改革は日本の試験風土を大きく変えるものだ。高校や大学と議論し、生徒や保護者に説明を尽くして進めてほしい。

  • 0
    点赞
  • 0
    收藏
    觉得还不错? 一键收藏
  • 0
    评论
评论
添加红包

请填写红包祝福语或标题

红包个数最小为10个

红包金额最低5元

当前余额3.43前往充值 >
需支付:10.00
成就一亿技术人!
领取后你会自动成为博主和红包主的粉丝 规则
hope_wisdom
发出的红包
实付
使用余额支付
点击重新获取
扫码支付
钱包余额 0

抵扣说明:

1.余额是钱包充值的虚拟货币,按照1:1的比例进行支付金额的抵扣。
2.余额无法直接购买下载,可以购买VIP、付费专栏及课程。

余额充值