僕と若手プログラムとの会話（４）

３DIコンテナ

学習の拡張

ここにはA君とB君の二人の新人がいて、DIコンテナの章を読んだとする。

A君は解説はひととおり読んで、DIコンテナのサンプルプログラムをひととおり動かしてみた。B君はサンプルだけではなく、プロパティにMapを設定してみたり、ログを出してみたりいろいろ試してみた。では、その後実力が伸びるのは２人のうちどちらだろうか。

そう、たぶんB君だ。
このB君のような行為を「学習の拡張」と言うらしい。学校の勉強の世界では、「暗記・詰め込み」より学習の拡張が大切だといわれている。

僕は2人の子供を持つ父親でもあるので、どうやったら子供が自発的に学習の拡張をするようになるのかよく考える。たとえば、子供の前で絵の具の青と赤を混ぜて緑を作ってみせる。すると子供は青と赤だけではなく黄色や緑やその他の色も混ぜ始め、色の組み合わせによってどのような色が作れるかを理解する。これも学習の拡張の一つだ。

子供達が学習の拡張を始めるときは、子供達になんらかの感動とか驚きがあったのだと思う。
――となると、三角形の面積の求め方で子供達を感動させたり驚いたりさせることができれば、子供は勝手に学習の拡張をするはずだ（それが難しいのだけれど）

話がそれた。
おそらく、皆さんは僕の言わんとしていることはもう理解しているだろう。

仮に仕事上の義務感だけで技術書を読んでいたらきっと学習の拡張を起こすことが難しいと思う。しかし、それではエンジニアとして伸びてゆかない。技術書を読むことで、新しい発見を感動し驚いていれば、学習の拡張は容易でエンジニアとして順調に実力を伸ばしてゆくだろう。
別に技術書でなくても良い。仕事の上で感動や驚きを常に持っている人は伸びるだろう。－－－それに、僕達は扱うのは目に見えて動くもので、三角形の面積より絵の具遊びに近いと思う。言われれば、簡単な話なのだが。

社会に入っても誰も「感動しろ。驚け」なんていわない。今必要な技術的なこと（それに事務的なことや社会の文化）を憶えろ憶えろと言うだけだ（なんだか学校教育）に似ている）。技術的なチップスを暗記してゆくことはもちろん大切だが、エンジニアならば、「技術的なことに感動し驚ける心」が重要だ。こうした心を、ぜひ自分の中に育ててほしいと思う。