携帯電話など使用済みの電子機器や家電には、金や銅、稀少資源などが多く含まれている。それらを再生可能な資源とみなして「都市鉱山」という。日本全土の都市鉱山に含まれる金属の量を推計すると、金は世界中の本物の鉱山に眠る量の2割弱、銀は2割強に達すると見られ、それぞれ世界一の埋藏量を持つ国の規模を上回るという試算もある。
都市鉱山はいつでも利用可能な「資源」で、相当量の金属を回収できるというイメージを持たれやすい。だが現実は違う。なぜなら、法で回収が義務づけられたテレビやエアコン、洗濯機、冷蔵庫の大型家電4品目を除くと、ほとんどの電気製品は破棄物処理法のもと、一般破棄物として自治体によって回収され、焼却あるいは埋め立て処理される。
再資源化されるのはごく一部だ。携帯電話の回収も十分にされていない。
現状では、廃家電の資源再利用のためのきちんとした回収システムがないため、リサイクルはあまり進んでいない。収集・分別に要する人件費が高いと思われることも、障害のひとつだ。
このため中古家電や金属スクラップの一部はアジアに流れている。都市鉱山の開発は、処理費の安い中国など近隣国が担っているともいえる。
日本の都市鉱山に眠る金属資源を利用していくためには、多くの工夫が必要だ。「ビジネスチャンス」「眠れる大資源」と持ち上げるのでは、上滑りだと言わざるをえない。
東北大では「人工鉱床構想」を提唱し、市民参加型の新たなリサイクル試験を進めている。都市鉱山開発向けた一種の社会実験として、家電リサイクル力してもらい、06年末から廃家電の収集をまじめた。今年度は秋田県全域に範囲を広げているところだ。
試験では、廃棄される機器の種類とメーカー、重量、廃棄までの年数、含まれる金属の種類や含有量など、将来の全国規模の再資源化に不可欠データを収集、蓄積している。
これまでのところ、携帯電話は購入後、約6年です捨てられることがわかった。通常の試用期間は約3年と見られ、使わなくなってからかなりの期間、家庭などで死藏されているようだ。他の家電も、捨てられるまでの期間は、一般的な使用年数より長めなことが分かった。
古い製品は、どんな金属がどれだけ使われたかについてのデータを製造者に確認するのが困難だ。国や自治体、業界の支援と、回収システムの早期確立が望まれる。さらに市民の声を聴きながら、小型家電を集めるポストを設けた。その場合、スーパーに置く方が、市役所などに置くより回収効率が高いことも分かった。
眠れる資源活用のためには、インフラや法の整備、環境対策などを踏まえた長期的な視点か必要で、本物の鉱山の開発よりずっと困難だ、有害物質資も含むことがある都市鉱山の開発は、資源確保と環境保全の両方をにらんで注意深くコントロールしていく必要がある。利益追求のみに立脚するリサイクルでは、金属価格が下落した場合には続かない。
資源や破棄物の問題は、一般の人からは見えにくい領域で、見えないものは気にならないし、誤解もされがちだ。都市鉱山の議論をきっかけに、貴重な金属資源のリサイクルの現状を見直してほしい。
どう 銅 しげん 資源 ふくみ 含み きしょう 稀少 ちくせき 蓄積 さいせい 再生 ぜんど 全土 すいけい 推計 わりじゃく 割弱 ぎん 銀 わりきょう 割強
たっする 達する まいぞうりょう 埋蔵量 うわまわる 上回る きぼ 規模
しさん 試算、資産 げんじつ 現実 ぎむ 義務 おおがた 大型 こがた 小型
ひんもく 品目 のぞく 除く はきぶつ 破棄物 もと 下、元 いっぱん 一般 じちたい 自治体 しょうきゃく 焼却 げんじょう 現状、現場 ようする 要する しょうがい 障害 ちゅうこ 中古 しょこく 諸国 ながれる 流れる きんりん 近隣 こえ 声、超え になって 担って こうふ 工夫、交付 うわすべり 上滑り こうしょう 鉱床、交渉、考証、公証 こうそう 構想、高層、抗争、降霜 とうほく 東北 ていしょう 提唱、低唱、低床 あらた 新た あらかわく 荒川区 さんかがた 参加型、酸化型 いっしゅ 一種、一首 ぜんいき 全域 ひろげて 広げて しゅるい 種類、酒類 がんゆうりょう 含有量 ふかけつ 不可欠 つうじょう 通常 かてい 家庭、過程、課程 しくら しぞう 死蔵、私蔵 そうき 早期 かくりつ 確立、確立
のぞみ 望み あつめ 集め、厚め、、暑め、熱め もうけ 設け せいび 整備、精美
かくほ 確保 ほぜん 保全 ふかく 深く ぶっしつ 物質 ついきゅう 追求、追究
りっきゃく 立脚 げらく 下落 ぎろん 議論 きちょう 貴重、機長、記帳、基調