Microsoftの戦略的クラウド「Azure（アジュール）」を見る【第一回】

2008年(ねん)10(１０)月末(がつまつ)に米国(べいこく)で開催(かいさい)されたPDC 2008（ProfessionalDeveloper Conference 2008）において発表(はっぴょう)されたのがMicrosoftのクラウド「Azure（アジュール）」だ。Microsoftが本格的(ほんかくてき)にクラウドへ向(む)かうということで、AzureはPDCでも多(おお)くのデベロッパーの注目(ちゅうもく)を集(あつ)めていた。このAzureについて、基礎知識(きそちしき)から3月に米国(べいこく)で開催(かいさい)されたMIX（デザイナー向(む)けのカンファレンス）で追加(ついか)された事柄(ことがら)を踏(ふ)まえて、現在(げんざい)わかる範囲(はんい)で仕組(しく)みを紹介(しょうかい)していく。

■ Azureとは？

　ビル・ゲイツ氏(し)がリタイアした後、Microsoftをテクノロジー面(めん)でリードしていくCSA（チーフ・ソフトウェア・アーキテクト）のレイ・オジー氏は、PDC 2008の基調講演(きちょうこうえん)で、「Azureは、Microsoftが持(も)つさまざまなソフトウェアをサービスとして提供(ていきょう)します。開発者(かいはつしゃ)の方々(かたがた)は、今(いま)までの培(つちか)ってきたWindowsのノウハウを生(い)かしたクラウドサービスを構築(こうちく)できます。また、Azureは、クラウド環境(かんきょう)として、単独(たんどく)で存在(そんざい)するのではなく、Microsoftが進(すす)めているSoftware＋Serviceというコンセプトの基(もと)に、社内(しゃない)の中(なか)にあるWindows環境(かんきょう)（オンプレミス＝On Premises）と融合(ゆうごう)して利用(りよう)できるようにしています」と語(かた)っている。 

　Azureは、クラウドで動作(どうさ)するOS「WindowsAzure」、Windows Azure上(じょう)にサービスとして用意(ようい)される「Live Services」「.NETServices」「SQL Services」「SharePointServices」「Dynamics CRM Services」などによって構築(こうちく)される。Microsoftは、クラウドOSのWindows Azureから提供(ていきょう)されるサービスまでを合(あ)わせて「AzureServices Platform」と呼(よ)んでいる。つまり、これら全体(ぜんたい)がAzureといわれるものだ。 

　このAzure Services Platform上では、Microsoftが提供(ていきょう)するオンラインサービスのすべてが動作(どうさ)することになる。コンシューマ向(む)けのWindowsLiveから、ビジネス向けのOffice Live（将来的には、Office14のWeb版も）、エンタープライズ向けのExchange Online、SharePointOnline、Dynamics CRM OnlineなどがAzureで提供(ていきょう)される。 

　これらのオンラインサービスはAzure上に構築(こうちく)されるため、データの相互連携(そうごれんけい)などを行(おこな)うことができる。また、開発者(かいはつしゃ)が独自(どくじ)のプログラムやビジネスロジックをAzure上に構築(こうちく)して、独自(どくじ)のクラウドサービスを作(つく)ることもできるし、Microsoftが提供(ていきょう)しているオンラインサービスと連携(れんけい)して動作(どうさ)することもできる。