【転載】勝間和代のニュースな仕事術--------第26回 勉強会ブーム

 

勉強会と勉強会の合間に本当の勉強をしよう!

第26回 勉強会ブーム

参加するだけで安心したり、単なる飲み会の代わりにしていたり…。
ブームの様相を呈する勉強会だが、目的意識に欠ける姿勢で参加する人も少なくない。
出席する会を厳選し、無理なく続けて、必ず“宿題”をやることが肝心だ。

 ここ最近、早朝やアフターファイブに、様々な場所で勉強会が開かれています。内容は、課題図書の読書会、ビジネスのテーマに即した発表会、シミュレーション研修など、いろいろなバリエーションがあります。講師を招いた各種セミナー、異業種交流会なども盛んです。

 まさしく「勉強会ブーム」と言えるこの状態の背景にあるものは、言わずもがなでしょう。雇用の安定が失われ、景気も悪い中で、頼れるものは自分のスキル向上だと考える人が増えているのです。

 確かに、勉強会は自分一人で勉強するのに比べて、仲間と一緒に学ぶので続きやすく、新しい知識を効率的に得ることができます。良い先生と出会いたい時も、勉強会の形式を取れば、講師として招くことができます。

 では、勉強会は参加すればするほど効果があるでしょうか。何事も「過ぎたるは及ばざるがごとし」です。「過ぎたるは…」の典型は、何の目的で参加しているのか、本人の意識が明確でないまま、参加すること自体で満足してしまっているケースです。

 勉強は、私たちの大事な時間とお金を費やす投資ですから、リターン、すなわち仕事への成果に結びつき、それが収入アップや生産性向上に結びつかなければ、投資効果が見込めないことになります。特に、仲間内での勉強会の場合、一見、実費程度しかかからず、大した投資ではないように思えますが、機会費用、つまり、その時間でできる他のことを犠牲にしている事実や出席している時間、往復の時間などを含めると、かなりの投資をしていることは間違いありません。

 投資であれば、費用対効果を厳しく見極める必要があります。ところが、勉強会が単なるネットワーキングや飲み会の代わりになっているケースが少なからず見受けられます。例えば、仕事とあまり関係がない集まりに人脈作りと称して出かけ、同じ仲間と話し、食事をし、飲んで、安心しているのです。

 私がこのような勉強会ブームに対して強くアドバイスしたいのは、投資先を厳選することと、そこで得た学びをどうやって実践に生かすのかを考え抜くことです。その際、勉強を楽しみ、勉強疲れを起こさないような工夫も必要です。「無理なく続けられる方法にこだわること」、そして「勉強会だけでなく、すべての時間で自然に勉強するクセをつけること」の2つをお勧めします。

無理なく続けられる方法とは、頑張らなくてもできる範囲、すなわち、日常生活に支障のない範囲で、しかも明らかに自分が強い興味を持っている勉強会に、集中して出席することです。

 そして、できる限り、その道の先生がいる勉強会に参加するようにします。勉強には試行錯誤がつきものですが、ある程度の正解を分かっている先生がいる中で行う試行錯誤と、本当に素人だけが集まって右往左往する試行錯誤とでは、効率が異なるからです。

 勉強会の出席頻度は、週に1~2回が最大だと私は思っています。それ以上の回数になると、学んだ知識を反芻して自分のものにする前に、新しい知識を積み上げていくことになります。何かを習ったら、それを自分の仕事に生かし、さらに無意識にできるようになるまで反復練習する、その時間をきちんと確保しなければいけません。勉強会と勉強会の合間こそ、本当の勉強なのです。

 例えば、笑顔の作り方を学んできたら、毎日、デジカメで静止画や動画を撮って自分でチェックし、習った通りに口角が自然に上がるよう、鏡を見て訓練します。あるいは、マーケティングの手法としてグループインタビューを習ってきたら、非公式でいいので実際に身の回りの人にグループインタビューを実行し、新しい視点が得られるかどうか体感してみるのです。

ダボス会議でも宿題が出た

 私は月に1回程度、人生戦略の立て方や、ビジネスのケーススタディーのセミナーを開いています。2~3時間のセミナーでは伝えたいことをすべて伝えられないため、毎回「宿題」を出し、必ず行うように念を押してセミナーを終えます。

 そして、次回のセミナーの冒頭で、しつこく「宿題をやってきましたか」と尋ねます。セミナーが始まったばかりの頃は、全体の30%くらいの人しかやってきていませんでした。それでは勉強が点・点・点になってしまい、能力開発は十分にできません。

 だから、私はしつこいほど、「セミナーを終えたら必ず、電車の中でも家でもベッドの中でもいいから、宿題をやってください」と繰り返し、次回のセミナーで「宿題をやってきましたか」と問いかけます。この声がけを半年繰り返したところ、宿題実行率が70%まで上がりました。もちろん、勉強効率も同様に上がりました。

 勉強会と勉強会の合間の方が、勉強会そのものよりも大事であることを再認識する機会が、この9月にありました。世界経済フォーラムが主催する「サマー・ダボス会議」に初めて出席したのです。

ダボス会議とは、同フォーラムが選出する世界中の経営者や政治家、知識人が、毎年1月にスイスのダボスに集まって開く会議のことです。その夏季版が中国・大連で行われました。ダボス会議も広い意味での勉強会の一つでしょう。

 開催期間中、世界の経済問題や社会問題について、スピーカーがプレゼンテーションします。それだけにとどまらず、挙げられた課題をどのように解くのか、メンバーが5~10人の小さなグループに分かれて、「半年後に皆で会うまで何をやっておくか」を話し合います。大まかな方向性を決めたら、後は役割分担をして終えます。

 そして、次回の会議までの間、メーリングリストなどでメンバーと連絡を取り合い、一人ひとりが得意なスキルを生かして、できる範囲で実践を繰り返し、課題の解決を図っていきます。ある意味、こういうやり方が身についている人を、ダボス会議のメンバーに選んでいるのかもしれません。

 勉強会と勉強会の合間に本当の勉強がある。そのことを頭に置いて、ぜひ無理なく続けられる勉強のペースをつかんでください。

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