「Unity」視錐台についての勉強
今回はUnityを利用した数学的な話をしようと思います。
視錐台(Frustum)はカメラの見える範囲のことを指します。
視錐台とその構成
3Dの世界はカメラから覗いて映像を捉えるのですが、そこでいう視錐台は下図の濃い黄色の部分の様に一部だけ切り抜いた範囲の事を指します。
左下がカメラになっていて、そこから視界が広がるイメージです。
そして最終的には台形が立体になったもの(「四角錐台」と呼びます)の形になりますが、特徴的なのがカメラから見て手前と奥が切れているところです。
手前側が「Camera.nearClipPlane」になり、奥側が「Camera.farClipPlane」となります。
その際にこの「面」の概念が必要になってきますが、Unityではそれを獲得する関数が存在します。
以下になります。
public static Plane[] GeometryUtility.CalculateFrustumPlanes(Camera camera)
この関数に「Camera」を渡すと、面に相当する「Plane」の配列が返ってきます。
6面あるので6要素の配列になり、それぞれが各面に対応しています。
Planeの構成
視錐台としてPlaneが6つ得られました。
このPlaneは数学的な「平面」の事を指します。
平面には「向き」があり、それを表すのに「法線」、つまり平面に垂直なベクトルの概念が必要になってきます。
今回はまず、平面自体に着目します。
平面関連の計算として、点と平面の距離を算出できます。
(UnityではPlane.GetDistanceToPoint()で獲得できます。)
点から平面への最短距離(垂線)を測れますが、ここでポイントなのは、点が法線側がそうでないかで、得られる値もプラスもしくはマイナスが変わってきます。
基本的に法線側がプラス、そうでない方がマイナスで、Unityのは少なくともそうなっています。
Unityでの活用
視錐台の内外判定については、Unityではそれを補助するための関数が用意されています。
public static bool GeometryUtility.TestPlanesAABB(Plane[] planes, Bounds bounds);
引数に平面(Plane)の配列と、バウンディングボックス(Bounds)を求められます。
点ではなく立体で判定する形式で、非常に便利です。
肝心のPlaneの配列ですが、GeometryUtility.CalculateFrustumPlanes()の結果をそのまま使うようなニュアンスが強いです。
しかし例えばゲーム的に「視界の中に入っているか?」という判定を行いたい時、near,far面は必ずしも必要とはいえず、むしろ取っ払ってしまった方が自然ですし、平面も4つで済むことが想像できます。
幸いnear,far面はPlaneの配列の最後の2つなので、下のようにリサイズして4つにすると良いでしょう。
// 視錐台平面を獲得
Plane[] planes = GeometryUtility.CalculateFrustumPlanes( camera );
System.Array.Resize( ref planes, 4 ); // near,far面を排除
// 内外判定
if ( GeometryUtility.TestPlanesAABB( planes, bounds ) ) {
// 入った!!
}
これで内外判定が効率よく行えました。